荒木経惟 『銀塩女優 Summer Xu』

Nobuyoshi ARAKI Gin-en Joyu Summer Xu

銀幕とは映画を映すスクリーンを指す。昔の映写幕には、布にアルミなどの銀皮膜が塗布されており、シルバースクリーンと呼ばれていたことが由来だそうだ。原節子、高峰秀子、京マチ子ら映画界のヒロインを銀幕女優と言い表したのは、昭和時代の初期〜半ばくらいまでであろうか。銀幕スターがかもしだす、風格ある華やかな存在感がいかに人々を魅了したかは、想像に難くない。

写真プリントの印画紙に、ハロゲン化銀(銀塩)を含む薬品が塗られていたことから、銀塩写真という言葉が使われるようになった。銀塩写真が主流であった時代は、平成の半ばくらいまで。それほど遠い話ではない。

ある種ノスタルジックな二つの言葉。タイトルが「銀塩女優」とされたのは、荒木のフィルムカメラの前で素顔をさらすことを望んだ、ひとりの女性からただよいだしたものが、女優人生そのものであったこととも関係があるのかもしれない。

本書には、女優・许晴のモノクローム作品、ともに展示された美しく色彩あざやかな花のポラロイド作品、全展示作品が収められている。

 

刊行年 2019・判型 160 x 160mm・48ページ・sold out