荒木経惟 結界

2014.10.16 - 12.15

2014.10.16 - 12.15

この展覧会は、インスタントフィルム作品により、構成されています。ポラロイド社がインスタントフィルムの製造を中止した年に、オランダで有志がたちあがり、銀塩写真という貴重な技法を守り、世界中の写真愛好家たちの食指をそそる遊び心を継承するために、元ポラロイド工場において、IMPOSSIBLEフィルムの製造にのりだしました。

ポラロイド時代から、荒木氏にとって、インスタントフィルムは大切な表現メディアの一つでした。現在では、IMPOSSIBLEフィルムを愛用してくださっておりますが、両方の作品をカットし、異なる断片をつなぎあわせるという、斬新な発想が「結界」の芯を成しています。その繊細な斬り口と時間の推移に、奥深い世界観を織り上げた「結界」による本展は、日を経るごとに、醸成の度を高め、思わず惹き込まれる魅惑に満ちています。

もとより、作品にはかないませんが、展覧会の記憶をかたちにとどめるため、一冊の本が制作されました。一枚一枚のページが独立して、アクリルボックスにおさめられ、購入された方が自在にシークエンスを編むことができます。128のイメージと、表紙・奥付、計130枚のトップに、お気に入りのイメージを乗せて、透明のふたを閉じ、厚みあるボックスを立てて、すがめつ、眺めることができます。

限定300部のこの本は、11月半ばに催された世界最大の写真の祭典、パリフォトでも人気を博し、1日めに持っていったすべてが売り切れてしまいました。