DAIDO MORIYAMA color works

このたびの展覧会では、60年代後半から80年代前半にかけて、森山大道氏により
リバーサルフィルムで撮影されたカラー作品をご紹介いたします。

当時、森山氏の撮影の大半はモノクロームフィルムに占められていましたが、
グラフ雑誌の依頼に応じるなど、路上でのスナップショットをコンパクトカメラに
カラーのリバーサルフィルムで撮影する機会が、しばしばありました。

「モノクロームは、プリントで操作をしたり粒子を荒らしたりできるが、
カラーではできないし、考えていないんです。カラーでは、ニッポンの
東京の俗っぽい場所や生々しい色を撮っている。単純にいうと、モノク
ロームには、印象性、象徴性、抽象性があるけれど、カラーには、ポッ
プでクリアーでジャンク、いい意味でペラペラな感じがあるね。より心
情的なモノクローム、より通俗的なカラー。自分の中にも両方があるわ
けだから、どちらも自分。分けることはできないんだよ」(森山氏)

その瞬間の匂いや空気や騒音が、40年のフィルム上の経年変化をものともせず、鮮度高く、
ヴィヴィッドなイメージの中に封じ込められています。
不思議に思われるのは、街をはじめとする外界の多くが、
開発や社会変動により様相を大きく変貌させてきたにもかかわらず、手が届くと思われるほどに至近な出来事として、
現在感覚で写真を感知できることです。
今はなき被写体が、リアルな存在感をともなって、眼前に迫ってくるのです。

「現在は、ストリートスナップはほとんどデジタルカメラを使っている
のですが、当時も今も、相変わらず同じものに興味がわき、視線が向か
うんです。視界がとらえようとする欲望の対象が、まったく変わらない。
車や建物、時代や風景がどんなに変わったとしても、街には必ず人がいる。
人と街との混沌とした関係は変わっていないんですよ。実にリアルで面白い。
カメラを持って街に出れば、そのときの僕の体内のセンサーのありようで、
いろいろなものを撮るわけだけれど、どの時代にも、街には、コメディや
エレジーやドラマ…すべてが包括されている。街は、ステージでありミュー
ジアムでありスタジアムであり、興味がつきないね」(森山氏)

ひとたび、ファインダーに飲み込まれた対象は、森山氏の視界と擦過することによって等価となり、
多くの人々をひきつける不滅の魅惑を湛えています。

本展は、8×10サイズを中心に、150点で構成されます。
当時のカラー作品が、このボリュームで展観されるのは、初めての機会となります。

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